A Compendium for Navigating Borderlands
『A Compendium for Navigating Borderlands展』は、「境界と越境」をテーマに、写真、コラージュ、詩、動画を集めたものです。
ガラスの壁面に展示されている写真は、コロナ禍、ロックダウン中に住んでいたシドニー郊外のマリックビルとアールウッドいうサバーブ境界沿いで撮影したものです。当時マリックビルとアールウッドとでは規制が異なり、住民は分断されていました。ガラス張りの壁に貼られた写真は、「ガラスの天井」のコンセプトのように「見えない障壁・天井」を象徴しており、鑑賞時の光の状態や、鑑賞者が展示スペースの内側にいるか外側にいるかによって、画像や空間の見え方が変化します。
ホワイトボード面のコラージュもパンデミック時に制作された作品です。マリックビルとアールウッドの境界に架かる橋の画像、そしてオーストラリアが国境を閉鎖した日に書いた詩で始まり、国境が再び開放されオーストラリアから日本へ久しぶりに向かう飛行機内で書いた詩、そして機内の座席背もたれのスクリーンに映るフライトマップのコラージュで終わります。マップは80年前に日米間で争奪戦が繰り広げられ、現在はアメリカ合衆国の領土となっているグアム上空を通過した時のものです。
第三章
展示
松山大学樋又キャンパス 2024年6月15日、16日
セミナー
6月15日(土) 「コロナ禍で表出したボーダーとアイデンティティ」 ‘Borders and Identities: Impacts of the Covid pandemic’
司会: 鎌田真弓(名古屋商科大学)
報告:金森マユ(アーティスト) ・ 飯笹佐代子(青山学院大学) ・ 濱野健(北九州市立大学)・舟木紳介(福井県立大学)
コメンテータ: 佐和田敬司(早稲田大学) ・ ロドニー・スミス(東大 CPAS 客員教授、シドニー大学)
第二章
吟行、俳句、ビデオ
『曖昧な境界』
俳人、キム チャンヒ、三瀬 翡翠、川又 夕、エドモンド マーティン、湊 桂司との吟行・ビデオ・コラボレーションにより松山で制作されました。あらゆる種類の境界とその曖昧さを探究し、「領土と境界」、「この世とあの世」、「内側と外側」、「時代と永遠」の境目の有無や曖昧さ、境目の移り変わりを省察する作品です。
第一章
エッセイ
『フォト・エッセイ:ロックダウンの中、シドニーから見えた境界線』寄稿
編著: 飯笹 佐代子・鎌田 真弓
出版社: 昭和堂
カバーデザイン: 村岡稚恵